早く壊すから沢山建てなきゃいけない

住宅の平均寿命

  • 住宅の平均寿命は前にも触れたとおり、日本が26年、米国44年、英国75年と言われています。日本が米国の約1/2、英国の1/3と非常に短い数字になっています。
  • 一方、人口当たりの住宅着工数は前回のデータのように、日本は米国の約2倍、英国の3倍となっています。これはまさに先ほどの住宅寿命の逆数、裏返しです。つまり、日本は家をたくさん建て過ぎというより(別のデータで、日本の現在の住宅戸数は約5,000万戸、米国は1億戸、ちょうど人口に比例した数字になっており、日本人が家をたくさん持っているということではありません)、早く壊し過ぎている、その結果たくさん建てる必要があるというのが正しい理解のようです。
  • ところで、住宅を早く壊すことによりふたつの問題が出てきます。
    • 経済的負担です。日本人は米国人の半分の年数で家を立て替えるわけですから、家計の住宅建設費負担は米国の2倍になります。リフォーム費用を考慮に入れても恐らく5割増くらいの負担をしていることになるのではないでしょうか。更に、日本の住宅建築費は米国より高いと言われています。最近米国も住宅建築費が上がってきて平均19万㌦(約2,000万円)になっていますが、平均面積が157㎡と日本の123㎡の3割ほど広いわけですから、実感としては4〜5割は日本の建築費の方が高いという感じでしょうか。両方あわせると、やはり日本人の住宅費負担は米国人の2倍程度になってしまいそうです。
    • もうひとつ、環境負荷の問題があります。建設廃材は年6,000万㌧、全産業廃棄物の15%を占める大きな発生源ですから、短いサイクルで家を立て替える今のやり方は、環境保全の面からも大きな問題をはらんでいます。